転職で怖じ気づくような人に仕事は任せられない

2011.11.25

そのうち、電話を取り次いでいた奥さんのほうが我々より積極的になってきて、夫を口説き始めた。「ここで跳べないと、もうこんな好条件のお話はないんじゃない。どうせ55歳になればあなたも定年だし、もしかしたら、その前に子会社にリストラされるかもしれないわよ。いずれにしてもいつかは違う職場で働くことになるんだから、その意味でも今転職したほうがいいと私は思っています。何より今回は、あなたの実力を評価して、向こうから声をかけてくれたんですから」奥さんは、そう説得したという。

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しかし、それでも夫は首をタテに振らなかった。奥さんが申し訳なさそうに電話をしてきて、受話器の向こうでため息をついた。「情けない。一度は辞表を書いたんですけど、いざとなると出せないと言うんです。自分でも状況はよく分かっていると思うんですが、どうすればいいでしょう?」我々としては、「もういいですよ、ご主人の気持ちも分かりますから」と言うしかなかった。奥さんのがっかりした様子はこちらにも伝わってきた。だが、我々ヘッドハンターにしてみれば、転職ぐらいで怖じ気づくような人に工場長は任せられない。