高度成長時代に普及し定着した世間相場方式はそうした努力の中から生み出された工夫のひとつであり、石油危機下における弾力的な賃金調整もまたそうした切磋琢磨から生み出された社会的な知恵であったといえる。いま、そうした社会的学習装置としての春闘は新しい課題に直面している。それは、メガトレンドの大きな変化の下で、勤労者の生活をより豊かにするには労使はどのような行動をとるべきか、労使がどのような戦略を追求するのが最も効果的なのか、という問題への答えを算出すことであろう。
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私見では、このような新しい環境条件下で社会的運動としての春闘が最大の力点を置くべき事は、内外価格差に象徴される日本経済の構造的矛盾を解決するため、大衆運動としてのエネルギーを集中させて働きかけるという事であろうと考える。それは改革の遅れた低生産性部門を近代化し、効率化し、消費者や生活者に直結する物価を引下げるための経済構造改革を推進するという事である。それは内外の市場の開放や規制の緩和、競争の促進、新しい産業や生活基盤のためのインフラ整備などすぐれて政策的、公共的な色彩の濃い戦略にならざるを得ない。経済の実態と離れた公共料金の決定や行政の非効率なども当然改革の対象とされねばならない。いうなれば経済構造改革という「世直し」が最大の焦点なのである。