欧米では七〇年代から、若年失業率の上昇にともなって、若年雇用問題が政策課題として取り上げられてきた。ところが、日本でそれが政策課題として登場するのは、九〇年代の後半に入ってからである。どうして日本では表面化しなかったのだろうか。そのあたりの背景を簡単に振り返っておこう。戦後の日本経済は、年功序列賃金制・終身雇用制のもとで成長を続けてきた。この制度を前提とする限り、若年層を雇うことは企業にとって有利であるという事実があった。
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終身雇用制のもとでは、新規学卒者は若い頃は生産性も低いため給料が安く抑えられ、ある程度年齢を重ねるにつれて、給料も生産性に見合った形で上昇していく。長く勤めるほど給与・退職金の面からは有利になるよう設計されている。つまり、会社に二十〜三十年勤めあげて、初めてもとが取れる仕組みなのだ。したがって、年功序列賃金制・終身雇用制のもとでは、企業は躊躇することなく新規学卒者を雇うことになる。この点は、欧米などの年功賃金制ではない職能給では、必ずしも新規学卒者を雇うインセンティブが働かないことを考えれば理解しやすいだろう。職務に見合ったそれなりの給料を支払うとなれば、企業は採算が取れると考えた時しか採用しないのである。